何歳くらいになったら、子どもが自立したっていうのかな…
学校を卒業して社会人になったとき?
それとも、大学進学で1人暮らしをするようになったとき?
将来、子どもには自立してもらいたいのすが、どんなふうに接したらよいのかしら?
こういった悩みにお答えします。
子育ての目標となるのは「子どもの自立」
親は、子どもが自立して、たくましく親のもとから巣立ってほしいと思いますよね。
でも、やはり親はわが子がかわいいあまりに、いろいろ手や口を出したくなるもの…
転ばぬ先の杖を出しすぎることも、ありますよね。
将来、子どもが自立した大人になるためには、親の日ごろの接し方が大事です。
ここでは、子どもが自立する年齢と自立できるような子育てのポイントについて、解説します。
また、2022年から、成人年齢が18歳に引き下げられることについてもまとめてみました。
「子どもが自立する」ということについて
◆ 「自立」は「他の援助や支配を受けず、自分の力で」
「自立」は、「他の援助や支配を受けず、自分の力で判断したり身を立てたりすること。ひとりだち」という意味があります。
引用:広辞苑無料検索
「子どもが自立する」ということは、「子ども自身が、自分の力で」ということです。
子どもは大人になるまでのあいだ、自分の力でできることがどんどん増えてきます。
たとえば、一人でお着替えをする、一人で学校に行く、一人で電車に乗る…
一人でできることが増えても、親の援助があるあいだは「自立した」とは言えないでしょう。
自立するということは、経済的にも精神的にも自分の力でできるようになることをさします。
精神的な自立は、「子どもが、自分の言動に責任をもてるようになる」と言いかえてもよいかもしれません。
経済的な自立は分かりやすいものですが、精神的というのははっきりとは分かりづらいですよね。
◆ 「自立する」のに年齢は決まっていません
子どもが自立する年齢がいつ?というのは、はっきりと決めることができません。
一般的には、「社会人になったとき」「実家からはなれて一人暮らしをするとき」などが思い浮かぶと思います。
しかし、社会人になる時期や一人暮らしを始める時期は人それぞれ。
高校を卒業して就職する人がいれば、大学や大学院に進学する人もいます。
学費の援助を親から受けずに、働きながら勉強している人もいます。
経済的にも精神的にも自立できるというのは、親子関係の中で自然と決まるものだと考えられます。
「子どもが自立する年齢」は人それぞれです。
何歳から自立という、はっきりとした線引きは難しいですね。
◆ 子どもの自立で親が「巣立ち症候群」にならないために
子どもが親から自立したあとに、「巣立ち症候群」「子育てロス」になる親がいます。
「巣立ち症候群」は、子どもが親元からはなれてしまい、心にポッカリ穴が空いたような状態のことをいいます。
子どもがいなくなったという喪失感から、親の心が不安定になってしまうのです。
進学したり、働き始めたり、結婚したり…と、子どもは子どもなりの人生を歩んでいきます。
いずれは、子どもが親の元からはなれていくときが来ます。
子どもが成長とともにできることが増えていくタイミングで、親は段階的に子どもと距離を置くことを心がけていきましょう。
巣立ち症候群や子育てロスにならないために、「子どもがすべて」にならないように心がけて過ごすことが大事です。
子どもが自立したあとは、親も自分の生活を楽しみましょう!
「子どもが自立する」子育てのポイント:6つ
- 親が子どもに過保護・過干渉にならない
- 親が子どもに決定権をもたせる
- 親が子どもの失敗を受け入れる
- 親が子どものやりたいことや気持ちを尊重する
- 親が子どもに我慢することを覚えさせる
- 子どもが甘えてきた時は受け止める(特に幼少期)
ひとつひとつ、くわしく解説します。
◆ 親が子どもに過保護・過干渉にならない
親が子どもに過保護・過干渉になると、子どもの自立のさまたげになります。
「子どもの忘れ物に気づいたときに、親が学校に忘れ物を届ける」ことをすれば、子どもは忘れ物の確認や、時間割すらしなくなるかもしれません。
子どもは、学校で忘れ物を注意されることで、次から自分で気にかけるようになります。
子どもは、経験や体験することで物事を理解し、習得していくものです。
親が良かれと思って忘れ物を届けたことが、「忘れ物をしてはいけない、準備や確認をした方がいい」ということが分かるきっかけを失うことになるのです。
親が先回りしすぎると、子どもは学ぶ機会が少なくなってしまい、体験や経験がとぼしくなってしまいます。
子どものことを心配するあまりに、口や手を出したくなりますよね…
分かります。
◆ 親が子どもに決定権をもたせる
親が子どものことについて何でも決めてしまうと、子どもは何でも親に頼ってしまうようになります。
「学校から帰ったら、すぐに宿題をしなさい」
「この習い事をしなさい」
「この学校を受験しなさい」
このようなことまで親が決めると、子どもは自分のことを考えないようになります。
自分のことでも、親に判断してもらうことが当たり前になってくるのです。
小さなことでも自分で決めることを繰り返していくうちに、「自己決定感」がそなわってきます。
自己決定感が身につくと、自分の目標や言動に責任が持てるようになります。
子どもの進路や将来について、重要な選択をしなければならないときが来ます。
子どもが自信をもって決めることができるように、親はサポートできるようになりましょう。
子どもの年齢によっては、自分で決めることがむずかしい時期もありますので、判断できそうなことから聞いてみましょう。
「どっちがいいと思う?」「どうする?」という声かけをしてみるのもいかもしれませんね。
◆ 親が子どもの失敗を受け入れる
子どもは大人になるまでにたくさんの失敗を繰り返しながら、いろいろなことを学んでいきます。
人生経験や知識が少ない子どもは、先を予想することがむずしいため、失敗することは当然のことなのです。
親は子どもにとって、絶対的な安心感を与えてくれる大きな存在。
子どもが失敗や挫折(ざせつ)をしたとき、子どもが感じたことを受け入れ、子どもの気持ちをいっしょに味わってあげましょう。
そうすることで、子どもは失敗から立ち直り、自分の足で前に進むことができます。
子どもが失敗したという結果だけにこだわらず、親は子どもがそれまで頑張ってきたプロセスを受け止めてあげましょう。
失敗するということは、子どもが成長できるチャンスにつながります。
◆ 親が子どものやりたいことや気持ちを尊重する
親が子どものやりたいことや気持ちを分かってあげることで、親は自分のことを信頼しているということが分かります。
子どもは、子どもなりの考え方や意見を持っています。
自分の考え方や意見を親が受け止めてくれることで、自分のことを認めてくれたと感じ、子どもが自信を持つことができます。
子どもは、自分で考える習慣や伝える力が身につき、自分の将来についてもしっかりとした目標を持つことができるでしょう。
親と子の信頼があるからこそ、子どもが自立へと踏み出せるのです。
◆ 親が子どもに我慢することを覚えさせる
親は、子どもに我慢をしなければいけないときがあることを教えておきましょう。
社会生活や集団生活の中では、自分の思ったとおりに自由に過ごすというのはむずしいことです。
決められたルールを守ったり、何かをやり抜くために我慢したりしなければならないことがあります。
「ゲームでもっと遊びたいけど、ゲームは1日1時間までにする」
「テストがあるので、テストが終わるまでゲームはしない」
親が無理やり我慢させるのではなく、子どもが自分の意志で我慢しようとする、「自己制御(セルフコントロール)」が大切です。
親が、日常生活の中で小さい我慢を積み重ねていくようにすると、子どもが自分の意志で我慢できるようになります。
我慢する力が身につくと、大人になったときに、やるべきことをやり抜くことができるようになるのです。
日々の積み重ねから、我慢できるようになりますよ。
◆ 子どもが甘えてきたときは受け止める(特に幼少期)
幼少期の子どもが甘えてきたときは、親はしっかりと受け止めてあげましょう。
子どもが不安で怖がっているなどネガティブな感情になっていると、親に甘えて安心感を得ようとします。
親に甘えてくっついたりする行動は、本能的なことです。
親がはねのけてしまうと、子どものネガティブな感情が解消されないまま、親から受け入れてもらえないと感じてしまいます。
子どもが自立するためには、幼少期の子どもと親とのかかわり方は重要なのです。
子どもが甘えてきたとき、しっかりと親が受け止めてあげると、子どもの心は落ち着きます。
甘えることで、子どもは安心できるのですね。
「子どもが自立する」ために大切なこと:3つ
- 親が子どもに自立をうながす
- 親も子離れをする
- 親が子どもに生きていくうえで必要なことを教える
◆ 親が子どもに自立をうながす
親が「いつまでも家に住んでもいいよ」「社会人になってもめんどうみるよ」というスタンスでは、子どもはいつまで経っても自立に踏み切れないでしょう。
親は、この先ずっと、子どものめんどうを見ることはできません。
子どもには、いつか自立しなければならないということ、子どもが1人で生活しなければならないことを分かってもらいましょう。
親も年齢があがってくると、経済的にも身体的にも、子どものめんどうを見ることが厳しくなってくるでしょう。
◆ 親も子離れをする
親は子どもが自立することがうれしいと思う反面、さみしく思ってしまいますよね。
「巣立ち症候群」「子育てロス」という言葉もあります。
親のさみしい気持ちから、子どもの自立を遠ざけてはいけません。
いつかは、子どもは親もとをはなれていくものです。
子どもが自立するときまでには、親は子離れをする準備をしておきましょう。
自分の人間関係を充実させることや、趣味や仕事など、子どもがいなくても楽しむことができる環境を整えておくことが大事です。
◆ 親が子どもに生きていくうえで必要なことを教える
社会に出ると、生きていくうえで必要なことがあります。
たとえば、洗濯する、料理をするといった生活するためのことを、自分でこなさなければなりません。
貯金する、税金を納める、年金や健康保険証といった社会制度についての知識も必要です。
社会の中で必要なことや知っておいた方がいいことは、家庭でしっかりと教えておきましょう。
社会に出ると、学校では教わらないことがたくさんありますよね。
社会人一年目で、初めての一人暮らしだと慣れるまでは大変です。
ぼくも、親のありがたみを痛感しました。
2022年4月から成人年齢が20歳から18歳になります
2022年4月1日から、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる「民法の一部を改正する法律」が施行されます。
最近では、選挙権の年齢も20歳から18歳になり、18歳になった高校生が投票できるようになりましたね。
◆ 18歳からできるようになること:おもに6つ
- 携帯電話を契約(購入)すること
- 一人暮らしのためのアパートの賃貸契約をすること
- クレジットカードを作ること
- ローンを組んで自動車を購入すること
- 10年有効のパスポートを取得すること
- 公認会計士や司法書士などの国家資格の職業につくこと(資格試験の合格は必要)
「18歳=大人」ということになりますので、法律上は自分で判断し、契約することができます。
携帯電話の契約(購入)や賃貸契約は、使用料金や家賃の支払能力の審査があります。
ローンを組むには、返済能力の審査があります。
金銭に関することは、年齢的に厳しいと判断されることがありますので、契約ができない場合があります。
◆ 成人年齢が18歳になってもできないこと:おもに3つ
- お酒
- たばこ
- 競馬、競輪、オートレース、モーターボート競走などの公営ギャンブル
お酒やたばこ、公営ギャンブルは、今までどおり20歳からです。
若いうちからのお酒やタバコは、健康面から考えると18歳からというのは望ましくありません。
公営ギャンブルは、ギャンブル依存になる危険性があることから、引き下げられませんでした。
◆ 女性の結婚できる年齢が18歳からになります
2022年4月1日から、女性の結婚できる年齢が16歳から18歳に引き上げられます。
現行では、男性は18歳から、女性は16歳から結婚できます。
社会的、経済的なことを考えると、16歳からではなく18歳以上が望ましいこと、特に男女での年齢のちがいは必要がないということから、女性の結婚できる年齢が引き上げられます。
現在は、高校などへの進学率も高くなり、結婚できる年齢が16歳からという状況はふさわしくありません。
今は、高校などへの進学率は、98%以上なんです。
16歳になっても、ほとんどの子が高校生なんですよね。
まとめ
子どもが自立するということは、経済的にも精神的にも自分の力でできるようになることです。
子どもが社会人になったら、働いて自立した生活を送ってほしいと望むのが親の気持ちでしょう。
子どもが自立する年齢は、人によってそれぞれ違います。
将来、子どもが自立できるようになるまで、親は見守りながら自立できるようにサポートしていきましょう。
2021年6月現在の情報です。
総務省:民法(成年年齢関係)改正 Q&A
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