「アドラー式子育て」という言葉をよく耳にするけど、どんな育児法なのでしょうか?
子どものできないことばっかり目について、イライラして怒ってばっかりです。
どうしたらいいのか、悩んでいます。
こういった悩みにお答えします。
「できないことにイライラしてしまって、毎日、子どもに怒ってばっかり」
「ほめてあげたい気持ちはあるのに、どこをほめていいのか分からない」
子どもを育てていると悩みは、つきませんよね。
親は、いろいろな悩みをかかえながら、子どもと向き合っています。
子どもの育児法は、アドラー式子育てをはじめとして、モンテッソーリ教育やシュタイナー教育などいくつかあります。
育児法の内容もさまざまであることから、親はどれがいいのか戸惑ってしまいますよね。
家事や育児、仕事にいそがしいお父さんやお母さんのために、ここではアドラー式子育てについてかんたんにまとめてみました。
日常生活で取り入れることができる、アドラー式子育ての方法についても紹介します。
少しでも育児の悩みが軽くなれば、心が楽になればさいわいです。
『アドラー式子育て』はだれもが対等の立場
◆ 『アドラー式子育て』は子どもを勇気づける育児法
アドラー心理学は、オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラー (A.Adler)が創始したものです。
人を勇気づける心理学ともいわれています。
アドラー心理学のなかの、「共同体感覚」「勇気づけ」といった考え方を、子育てに取り入れたものです。
アドラー式子育ては、「ほめない・叱らない」を根底として、自立した大人になることを目標としています。
「ほめない・叱らない」という育児法。
「子どもは、ほめて育てたほうがよい」とよくいわれますが、アドラー式子育ては正反対です。
アドラー式子育てはほめずに、叱らずに、子どもを『勇気づける』ことが大切という育児法です。
そんな理想論のようなことが本当にできるの?と、アドラー式子育てに不信感をもたれるかもしれませんね。
これから、アドラー式子育てについて、もう少しくわしく解説していきます。
◆ 人間関係には『たての関係』と『よこの関係』があります
アドラー式子育ての人間関係には、「たての関係」と「よこの関係」があります。
『上と下がはっきりしている関係』
- 会社では、上司が上、部下が下
- 学校では、先生と生徒
- 勝負では、勝ち負け
『対等な関係』
『同じ目線で、おたがいに信頼しあっている関係』
- 友達
- 親子やパートナー
「たての関係」は、人間として上下関係があるわけではありませんが、役割として上下関係をつけています。
役割をつけて、上の立場が下の立場を支配している状態のことをいいます。
「たての関係」は、上司からのパワハラ、ケンカ、いじめなどトラブルにつながりやすいといわれています。
「よこの関係」は、お互いを信頼し、尊敬しあうことで、ひとりひとりが自分らしく過ごせる状態のことをいいます。
◆ 親子はおたがいに信頼しあう『よこの関係』
アドラー式子育てでは、親子は、「よこの関係」であることが望ましいといわれています。
親子は年齢がちがっても、立場は同じ、対等なのです。
親が、子どもの人格を尊重して、ひとりの人間として認めることで、「よこの関係」を築くことができます。
親が子どもを対等な人間としてあつかうことで、子どもは自分らしくいらます。
親から信頼されることで、子どもは自信をもつことができ、自立へとつながることになります。
アドラー子育ては、親子が「よこの関係」にあり、おたがいに相手のことを思いあうことが根底になっています。
親子がよこの関係を築くためにできること『勇気づけ』
◆ なぜ『ほめる・叱る』をしてはいけないの?
ほめること、叱ることは、上の立場の大人が下の立場の子どもにおこなうことです。
親の立場で、子どもに指示や命令したり、干渉したりすることは「たての関係」になります。
「お片付けがができてエライね!」
ほめることは悪いようには思えませんが、上の立場である親が、片付けができたという結果だけを評価しています。
「はやく片付けなさい!」
子どもにはよく言ってしまいますよね。
これも、上の立場である親が、片付けしなさいと命令や指示を子どもに押し付けていることになります。
親が子どもをほめることや叱ることは、上の立場からの行動なのです。
ほめたり、叱ったりすることで親子で上下関係が成立してしまい、「たての関係」になってしまいます。
ほめることや叱ることをくり返していては、いつまでたっても親子は「よこの関係」にはなれないのです。
親子が「よこの関係」を築くためには、ほめない、叱らないことが第一歩になります。
◆ 子どもはほめず、叱らずに勇気づけましょう
子どもを育てるのに、ほめないことや叱らないことができるの?と不安になりますよね。
子どもをほめず、叱らずに、子どもに接する方法があります。
それが、アドラー式子育ての「勇気づけ」といわれる方法です。
勇気づけるコミュニケーションをくり返すことで、親子は「よこの関係」をきずくことができます。
ほめたり、叱ったりするのではなく、親はかかわり方を少しづつかえてみましょう。
もうひとつ大事なことは、最初から完ぺきを求めないことです。
大人になったとはいえ、親も不完全で、未熟な部分はたくさんあります。
親は、完ぺきにこなそうとせずに、できない自分を受け入れることも大切です。
親は、何でも完ぺきにこなそうと意気込まずに、少しづつ心がけていきましょう。
◆ 子どもに勇気づける声かけをしましょう
子どもをほめず・叱らずに、親は勇気づける声かけをすることを心がけましょう。
勇気づける声かけは、特別なものではありません。
子どもが当たり前にできていることで、勇気づける言葉をかけることができます。
たとえば「ご飯をたくさん食べた」こと。
子どもがご飯を食べるのは当たり前のことで、普段であればスルーするようなことですが、勇気づける声かけができます。
勇気づける声かけは、子どもの気持ちに寄りそい、共感する気持ちで接することです。
「ご飯をたくさん食べた」ときは、「ご飯をおいしそうに、たくさん食べたね。ありがとう。全部食べてくれて、うれしいな」と声かけをしてみましょう。
親は、子どもができたことや頑張ったことを認め、さらに親が感じたことを伝えます。
ありがとうやうれしいという気持ちを伝えることで、子どもを勇気づけることができるのです。
当たり前のことや、日常のささいなことでも、くり返して子どもを勇気づけることによって、ほめることも叱ることも少なくなってきますよ。
日常生活でできる!勇気づけできる声かけ:2つの例を紹介します
日常生活の中でできる、勇気づけの声かけを2つ紹介します。
◆ リビングを片付けてほしいとき
「早く片付けなさい!」
リビングが子どものおもちゃなどで散らかっているとき、ついつい言ってしまいがちです。
子どもに対して「片付けなさい」という言葉は、親の命令・指示です。
親が、子どもに命令や指示を押し付けていることになります。
命令や指示をした後に、子どもが片付けようとしなければ、親は怒ることになりますよね。
子どもにリビングを片付けてほしいときは、命令や指示ではなく、お願いしてみましょう。
さらに、どうして片付けをしてほしいのかといった理由も付けくわえて伝えましょう。
勇気づける声かけの例
■「散らかっている部屋はくつろがないし、みんなが座る場所もなくて困るのよね。」
■「使い終わったものを片づけると、気持ちがすっきりするのできれいにしてほしいな。」
■「ご飯を食べる場所もなくて困るので、使わないものは片付けてもらえると助かるな。」
◆ テストの点数がよくなかったとき
「なんでこんな点数なの?勉強したの?」
子どものテストの点数がよくなかったとき、親は結果に不満をもち、怒ってしまいがちです。
悪かった結果に対して、くどくどと親の不満や怒りを感情的に話してしまいます。
つい言いたくなってしまう気持ちは分かります。
まわりの子の成績や平均点などをもちだして、ほかの子どもと比べがちですよね。
テストの点数がよくなかったときは、テストの結果ではなく、次にむけてどうすればいいのかといった声かけをしましょう。
ほかの子どもと自分の子どもをくらべて、優越をつけることも望ましくありません。
ほかの子どもとくらべるのではなく、現在の子どもと過去の子どもの姿に注目してみましょう。
どうして結果が悪かったのかをいっしょに考えて、その経験や失敗をもとに、次へのステップにつなげるように話し合ってみましょう。
勇気づける声かけの例
■「今回は残念だったね。どこをまちがったのかな。」
■「くやしかったよね。次のテストまでには、どうしたらいいのかな。」
■「前と比べると、頑張って勉強していたよね。」
『ほめること』と『勇気づける』ことのちがい
ほめることと勇気づけることは、ちがいます。
ほめることは、上の立場である親が、子どもの結果だけを判断しています。
親が結果だけをみて判断しほめてばかりいると、子どもは行動するときに、親がどう思うのかを考えるようになります。
子どもは、親にほめてもらえると思ったことは、行動します。
ほめてもらえないと思ったことは、行動しません。
子どもは、自分がどうしたいのか、どうすべきかを考えないようになり、行動するのは親からどう思われるかが基準になってしまいます。
親が子どもをコントロールしている状態が長くつづくと、自立することがむずしくなってしまいます。
子どもは、ほめてもらえると思ったのに、親からほめてもらえないことがあると、自信をなくしてしまうことがあります。
勇気づけは、子どもの行動に対して共感し、ありがとうやうれしいといった気持ちを伝えます。
子どものとった行動の結果だけを評価せずに、そのプロセスに重視した声かけをします。
勇気づけられたことが多い子どもは、自分から相手を喜ばせるような行動をとれるようになるのです。
さらに、自分で考えて判断し、行動できるようになるのです。
勇気づけられることで自分に自信をもつことができ、将来、自立できるようになるのです。
まとめ
アドラー式子育てで大事なことは、3つです。
- 親子は「よこの関係」、子どもをひとりの人間としてあつかうこと
- ほめず・叱らず、勇気づける声かけをすること
- 子ども自身の成長に注目すること
親の気持ちに余裕がないと、一方的に怒ってばっかりになってしまいます。
また、子どものどこをほめていいのか分からないこともあります。
自分の育児に自信がないと落ち込んだり、子どもとどう接していいのかと悩んだりすることがありますよね。
アドラー式育児は、そんな悩みに寄りそってくれる育児法のひとつかもしれません。
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