「子育ては10歳が分かれ目」や「10歳(小4)の壁」
という言葉をよく聞くんだけど、どういうことなのでしょうか?
最近、子どもが口ごたえをするようになって…
今までそんなことなかったのに、どうしたらいいのかしら?
こういった悩みにお答えします。
「子育ては10歳が分かれ目」「10歳の壁」または 「小4の壁」 という言葉をよく聞きます。
10歳ごろの子どものことを、「ギャングエイジ」と呼ぶこともあります。
なにかと10歳という年齢は、子育てにおいてターニングポイントのようですね。
10歳ごろの子どもは、体が大きくなりはじめ、しっかり自分の意見もいうことができるようになります。
親にも、生意気に反発することも出てくるでしょう。
今までは素直にいうことをきいていたのに、子どもの反抗する態度に、親は戸惑ってしまいますよね。
では、なぜ子どもは10歳ごろになると、急に自己主張が激しくなるのでしょうか。
ここでは、子育てにおいて10歳が分かれ目になる理由についてまとめてみました。
また、10歳からの子育てポイントについて紹介します。
どうして子育ては『10歳』で区切られるのか?
◆ 10歳前後の子どもは内面が大きく成長するため
「子育ては10歳が分かれ目」や「10歳(小4)の壁」という言葉をよく聞きますよね。
なぜ、『10歳』という年齢が区切りになるのでしょうか。
10歳前後の子どもは、体が大きくなるにつれて、内面が大きく変化するためです。
この時期は、親にむかって、急に反抗的な態度をとるようになったり、生意気に口ごたえしたり。
態度にあらわれるようになります。
幼少期から思春期に移行する時期にあたることから、「10歳が分かれ目」「10歳の壁」といわれます。
ちょうど小学校4年生あたりになりますので、「小4の壁」ともいわれるのです。
もちろん、子どもによっては10歳より早かったり、遅かったりと個人差があります。
女の子のほうが男の子よりも、早いともいわれています。
◆ 10歳前後の子どもは考え方が大人になってきます
10歳ごろ子どもは、現実を客観的にとらえる力、物事を観察する力がついてきます。
つまり、10歳ごろから大人への考え方になりつつあるということです。
たとえば「明日の時間割りをしておきなさい」ということに対して、今まではすなおに準備ができていました。
10歳ごろになると、親の指示に対して自分で考え、行動するようになります。
子どもが、自分の考えを伝えることができるということですね。
親が「時間割りをしなさい」と声をかけると、子どもは 「明日の朝、時間割りをやる」という受け答えをします。
親は子どもが反発している感じてしまい、『いうことをきかなくなった』と思ってしまいます。
子どもは、『明日の朝に時間割ができる時間も十分あるし、やれる自信もある』と思っているのです。
子どもが自分の考えを持つことができるようになることから、親と子で考え方がちがってきます。
反抗したり、反発したりする態度を取るようになってくるのは、子どもが自分自身で考えている結果なのです。
ひとりの人間として、考える力が身についてきたということです。
◆ 子どもは10歳前後で『いもむしからちょうちょにかわる』
「10歳(小4)の壁」と同じよう有名なこの言葉、「子育ては10歳が分かれ目」は本のタイトルです。
「子育ては10歳が分かれ目」は、高濱正信(たかはままさのぶ)さんが書かれた本です。
高濱さんは、花まる学習会代表やNPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長をつとめられています。
『子どもは、10歳前後でいもむしからちょうちょにかわるくらい別の生きものに変態する』と高濱さんはいわれています。
10歳前後の子どもは、幼虫から成虫になろうともがいているところなのです。
つまり、「子どもから大人になろうとしている状態」ということです。
子どもは、大人になるプロセスのなかで、いくつかの試練を乗りこえているのでしょう。
『いもむしからちょうちょにかわるくらい別の生きものに変態する』
この言葉は、ストンと理解できましたね。
【精神面でのポイント:3つ】10歳からの子育て
◆ 親ができる精神面でのポイント:3つ
10歳前後で子どもは、大人になろうともがきながら、壁にぶつかっています。
子どもが反発したり、反抗したりすることが続くと、どうしても親は腹立たしくなることがありますよね。
なんで反発ばかりするのかしら、どうしたらいいのか…
親のほうが、不安になってしまう気持ちはよく分かります。
子どもが変わろうとしているのであれば、親も少しづつ接し方を変えてみると、怒ることも少なくなります。
10歳前後の子どもに寄りそっていくための精神面でのポイントは、3つです。
- ひとりの大人として接しましょう
- 自分のことは子ども自身にさせましょう
- 子どもの自主性をのばしてあげましょう
◆ ひとりの大人として接しましょう
10歳前後の子どもは、大人になろうとしているところなのです。
ここは親がわりきって、子どもを「ひとりの大人」として接してあげましょう。
子どもは、大人の社会について少しづつ理解してきています。
本音や建前、世の中の理不尽さなど、「正しいことはすべてが正しい」とは言い切れないことが分かるようになってきています。
子どもは、理想的な話ではなく、より現実的な話に興味をもつようになります。
「こうしたほうがよい、こうすべきだ」という親の指示や命令では、子どもの耳には届きません。
親としてどう思うか、どう考えるかを素直に伝えるようにしましょう。
子どもをひとりの大人として認め、親の本音や弱みをさらけ出して接すると、子どもの反応もちがってくるかもしれません。
親は本音や弱みを、子どもにはさらけ出したくない…と思ってしまいます。
そこは親も覚悟を決めて、乗り切っていきましょう。
◆ 自分のことは自分でさせましょう
子どもに自分のことをまかせて、責任もって子ども自身にさせましょう。
「宿題は終わったの?やったの?」
親は、子どもが高学年になっても、低学年のころと同じように声をかけてしまいます。
子どもは、今までと同じようなあつかいをされることに違和感を感じているのです。
反発するということは、親から口出しされることをうっとうしいと思っているためです。
親は、口出して反発されるのであれば、思い切って子どもにさせてみましょう。
いきなりすべてのことを任せることはむずかしいかもしれませんので、徐々に子どもにさせるようにしましょう。
「今日からは宿題のことは口を出しません。」
親はこれから宿題のことには干渉しないと、子どもにはきちんと宣言することをおススメします。
親が言わないとできるわけないと思うかもしれませんが、子どもは「宿題をいつするのか」ということを判断できる年齢になっているのです。
親は子どもが責任をもって行動できるかどうか、見守る側になりましょう。
◆ 子どもの自主性をのばして認めてあげましょう
子どもの行動を抑制せずに、考えていることを認め、自主性をのばしてあげましょう。
親は、子どもの行動が目についてしまい、ついつい口を出してしまいます。
子どもの行動を、親の価値観で抑制してしまうと、子どもは自主性やヤル気がなくなってしまいます。
子どもは、いろいろな体験することで、考える力が身についてきます。
親は、子どもが考えて行動することを否定せずに、尊重してあげましょう。
自分で行動した結果、失敗することがあるかもしれません。
親は、失敗したことを責めるのではなく、行動できたことを認めたうえで、なぜ失敗したのかを話し合ってみましょう。
将来、自立した大人になるためにも、子どもの自主性をはぐくむことは大切です。
【学習面でのポイント:3つ】 10歳からの子育て
◆ 親ができる学習面でのポイント:3つ
10歳前後で子どもは、内面の成長とともに、もうひとつ「学習面」の壁にぶつかります。
たとえば、小学校4年生の算数。(大日本図書:たのしい算数4)
がい数や大きな数、( )がある計算や四則計算、角度、変わり方などを学びます。
3年生までの算数は、子どもの身近にあるもので、イメージがつかみやすいものを学習してきました。
4年生の算数では、日常生活ではあまり縁がない、「概念」といった抽象的なことを学んでいきます。
抽象的なことを理解するには、文章を読み解く力も必要です。
文章を読み解く力は語彙力(ごいりょく)、どれだけ言葉を知っているかということです。
もうひとつは、1年生から3年生までで学んだ内容が、4年生の算数で必要になってきます。
3年生までの算数が習得できていないことが、つまづく原因になります。
10歳前後の子どもをサポートする学習面でのポイントは、3つです。
- 習得できていない学年からやり直してみましょう
- 日常生活と結びつけた体験させてみましょう
- 語彙力(ごいりょく)を身につけましょう
◆ 習得できていない学年からやり直してみましょう
1年生から3年生までで習った、基本的な計算をもう一度やり直してみましょう。
4年生で学ぶ複雑な四則計算でつまづくということは、基本的な計算が習得できていないということです。
どこの学年あたりから習得できないのかを、見直してみましょう。
かけ算九九からであれば、暗記できるくらいにもう一度覚えなおすことからはじめるといいですね。
どの教科においても、基礎学力は大事です。
低学年で学んだことが習得できていないと、高学年の授業についていけなくなります。
習得できていない学年から、復習してみることをおススメします。
学年が上がるほど、復習するのが大変になります。
4年生であれば、3年間分の学習を見直せば大丈夫ですよ。
◆ 日常生活と結びつけた体験させてみましょう
イメージしにくい抽象的なことを、日常生活に結びついたことに置きかえて説明すると、子どもは理解しやすくなります。
広大な面積をあらわすときに。「東京ドーム○個分」といった表現をよく使いますよね。
「面積が○○ha」という数字だけでは、イメージしにくく、伝わりにくいためです。
抽象的なことは、大人でもなかなか理解しにくいものです。
経験値や知識が少ない子どもであれば、なおさらです。
たとえば角度。
日常生活で意識することはほとんどなく、子どもにとっては分度器もはじめて使う文房具でしょう。
子どもの身近にある、「角度」があるものをいっしょに探してみましょう。
折り紙を折ったり、はさみで切ったり、ピザなどの丸いものを分けたりと、角度がどんなものなのかを体験すると理解しやすくなります。
また、スーパーでの買い物は、「○割引き」や「ポイント○倍」「消費税が10%」といった体感できる数字がたくさんあります。
習ったことを日常生活に結びつけることで、子どもは学んだことを習得できるようになります。
日常生活と学校の勉強を結びつけるのはオススメです。
◆ 語彙力(ごいりょく)を身につけましょう
たくさんの言葉を知っていることで、文章を理解する力がついていきます。
教科書に書いてあることやテストの問題文の意味が分からないということは、知っている言葉の数が少ないためです。
ただし、語彙力(ごいりょく)は、すぐに身につくものではありません。
語彙力(ごいりょく)を身につけるには、時間がかかります。
子どもが、本を読むことや文字にふれる環境をつくってあげましょう。
少しでも文字にふれる時間を過ごすことが大切なのです。
本屋や図書館に、子どもといっしょに行くのもよいでしょう。
小学生むけの子ども新聞は、興味が持てるようなおもしろい内容になっています。
学習系の歴史マンガもおススメします。
最近は、活字ばなれが進み、本を自発的に読む子どもが少ないといわれますよね。
授業が始まる前に、「読書」に取り組んでいる学校も多いようです。
親は、子どもが文字にふれる環境づくりをして、サポートしてあげましょう。
まとめ
子どもは、10歳前後で体も大きくなり、内面も大人に変わろうとしています。
「10歳の壁」というのは、大人へ変わろうとして、いろいろな壁にぶつかっているのです。
親への反抗的な態度は、大人へ成長しているというサインです。
親は、このサインに気づかず、かわいくて素直だったわが子の変化についていけないことがあります。
子どもからのサインを見逃さないように、こころに留めておきましょう。
親は子どもが思い通りにならないことに腹を立てるのではなく、子どもへの接し方を見直してみることが必要です。
子どもとは、ある程度のほどよい距離を置いてみましょう。
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